新しい自民党総裁が決まった週末

1年前に総理大臣が変わったばかりのはずなのにまた総理大臣が変わった。

先日の参院選が尾を引いているのか、いま政治家は口を「外国人をどうするか」そればかりだ。昨年のいまごろは夫婦別姓と同性婚について議論されていたと思うと、ずいぶんと後退したな。と、思う。

自分は昔から比較的外国人が一定数いる地域で育ってきたのもあり、いまSNSを通じて行われている議論……というか、それらはほとんど恐怖心、もしくは無自覚の差別真からの罵詈雑言。と言って差し支えがないものかと思うが、どうしても何を恐れているのだろう。という気持ちが心の中にある。

かつての同級生やバイト先の常連家族の顔が浮かんだりして、あのひとたちが何したって言うんだろう。元々の文化の違いがあるのは当然なのだから、じゃあお互いが歩み寄ればいいじゃないか。と。これは綺麗事なのだろうけど、それが一番いいんだから、人間が理想を掲げるのをやめてしまったらおしまいではないか。極東の島国が、かつては先進国のような振る舞いをすることができたかもしれないがそれも昔。少子高齢化は進み、経済が停滞して何年経っているかもわからない。

コンビニに入れば結構な片田舎でも外国人が働いている割合は高い。エッセンシャルワークの現場でもやはり外国人頼りの部分があると聞く。そうやって働いてくれているひとたちに対して憎悪を向ける結果、いいことが起こるのだろうか。世界に誇れる日本なのだろうか。自分には全くわからない。

他者に対して手を伸ばすことができる国が誇れる国であると思う。
いまの日本に生き、条件反射的にヘイトの投稿をしてしまうひとの振る舞いはそうだとは思わない。
日本すごい的な言説はあまり好きではないが、すごい日本を誇らしく思うなら、その自らの振る舞いがすごい日本と矛盾していないか。聞いてみたいところではある。

総理大臣を辞める石破茂はここ数ヶ月随分とインターネットの中では株を上げている。理由は簡単で、まともなことを言っているからだ。第二次世界大戦における反省という言葉を使用したスピーチ、関東大震災後の朝鮮人虐殺があったという歴史認識の上での対話、01年のJRのホームに落ちたひとを助けようと命を落とした留学生のイ・スヒョンさんの墓参りと献花……こう書き連ねるとああ、日本の総理大臣はこう言うことをしてこなかったのだな。これをしただけで褒められるのか。そして、次の総理大臣はしないのだろうな。という諦めもある。

その一方で、結局石破茂は何かものごとを前進させたのか。というと、多くの疑問もある。ダースレイダーさんや安田菜津紀さんも言っているが、まともなことを言っている一方で“不法滞在者ゼロプラン”によって“不法滞在者”は強制送還され、杉田や西田の公認をしたのも石破内閣であり、ご存知の通り夫婦別生も同性婚も法制化されていない。石破はパレスチナの国家承認も「いつするかの問題」と言ってはいるが、日本政府は承認していない。

個人的にはそもそも自民党なのが政権を握っているのが嫌なので、誰だろうが嫌なのだが、石破に多少期待していないわけでもなかったので嫌われ者の石破が好き勝手できないのであれば、もう自民党に期待はできないのではないか。期待する方が馬鹿なのではないか。と、思わなくもない。

新しい総理大臣は高市早苗になるようだ。初の女性総理大臣だという。が、初の女性東京都知事が小池百合子なのであれを見ているとだからどうした。

そんな土曜の翌日、『ヒックとドラゴン』を初めて見た。評判のいいアニメーション映画であることは知っていたが、何の気なしに初めて見たら涙が止まらなかった。人間とドラゴン、種族の異なる者同士が共存する世界は、今週末のメンタル的にも突き刺さった。ポケモンとかデジモンとかで育った世代なのでそういうのが好きなだけかもしれない。

異なることで恐怖を抱き攻撃するよりも相手を理解することで共に生きる方法を探す方が余程人間的ではないだろうか。

現実の世界で起こっているそれは人間同士であり、現在の日本は幸福なことに戦争状態でもない。
で、あれば、異なる他者を否定するのではなく、許容する社会を自分は望む。

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