6月23日は沖縄慰霊の日。本土に生きる自分が沖縄について知ろうと触れた入口10選

今日は6月23日、沖縄慰霊の日。

自分は本土の人間で、沖縄にも一度しか行ったことがない。沖縄を題材にしたいくつかの本を読み、映画やドラマを見た程度だ。沖縄のことなんてそれらに触れた程度しか知らない。6月23日を「慰霊の日」と、意識をして過ごしているのもここ数年でしかない。その前はその名も、なぜ「慰霊の日」なのかも知らなかったような人間だ。

今年は痛ましい事故も起こった。インターネットではいまも沖縄についてあらゆる出来事に対し誹謗中傷が起きているだろう。あまり積極的には見ないようにしている。

そんな中でもしも、誰か(きっとその多くが本土に生きるひとだろう)が、自分のように何かのきっかけで沖縄について知りたい。と思ったとき、少しでも参考になったら嬉しい。自分は沖縄の人間ではないが、日本人だ。だったら、沖縄の歴史だって知るべきではないのか。

青い空、青い海、あたたかいひとたち……どれも確かに本当のことかもしれない。それでも、それで語りきれないものについて、考える必要があるのは、本土の人間だと思っている。

そのために本や小説、映画、ドラマといったものに触れてとっかかりを探すことは悪いことではないと信じたい。

【新書】高橋哲哉『沖縄について私たちが知っておきたいこと』

沖縄の基地問題を理解し、その解消を目指すためには、まず、沖縄が日本に併合された経緯やその後何度も本土のために犠牲になった歴史を知らなければならない。(出版社公式WEBサイトより抜粋)

最初におすすめしたい1冊。早い人であれば2,3時間くらいで読めると思う。概要通りだが、琉球処分(沖縄併合)から沖縄戦、基地問題まで、タイトル通り「沖縄について私たちが知っておきたいこと」の全体感が掴めるのではないか。

【新書】林博史『沖縄戦 なぜ20万人が犠牲になったのか』

県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦から80年。膨大な史料と最新の知見で編み上げた沖縄戦史の決定版!(出版社公式WEBサイトより抜粋)

沖縄戦を現在の視点から振り返るなら手に取りやすい1冊。昨年出たばっかり。

【ノンフィクション】沖縄タイムス社 編著『沖縄戦記 鉄の暴風』

生存者たちが語った真実を記録する 日本人必読の書。第二次大戦中20万人もの命が奪われた沖縄戦。本書はその惨状を体験者から聞き取り綴った克明な記録。現代史第一級史料を初文庫化。(出版社公式WEBサイトより抜粋)

終戦から5年後に初版が刊行され、沖縄戦生存者の鮮明な記憶で語られる沖縄戦。県民の4人に1人が亡くなったとされる。とはどういうことなのか、その断片に触れられる1冊。少しずつ読んでいる。

【社会学】打越正行『ヤンキーと地元』

暴走族のパシリから始まった沖縄のフィールドワーク、10年超の記録。建設業や性風俗業、ヤミ仕事に就いた沖縄の若者たちを追い、暴走族のパシリから始めた10年超のフィールドワークの記録。(出版社公式WEBサイトより抜粋

自分が沖縄という土地に興味を持ったきっかけの1冊だったように思う。現代の沖縄で男性が生きるとは。上間陽子『裸足で逃げる』とセットで読むべき1冊。増補された箇所がとても重要なので文庫版を強くおすすめしたい。

【社会学】上間陽子『裸足で逃げる』

打越正行『ヤンキーと地元』とともに沖縄の語り方を変えた、比類ない調査の記録。13000字超の文庫書きおろしをくわえた決定版。(出版社公式WEBサイトより抜粋)

現代の沖縄に生きる女性を追った調査の記録。打越正行『ヤンキーと地元』とセットで読むべき1冊。文庫版書き下ろしのために文庫版を強くおすすめしたい。

【社会学】岸政彦『はじめての沖縄』

かつて「沖縄病」だった著者が、研究者として沖縄に通い始めたときに目にした孤独な風景。繰り返しその風景に立ち戻りながら、沖縄で生まれ育った人々による人生の語りを記録し、そこから沖縄の「歴史と構造」へと架橋する。各紙絶賛のかつてない〈沖縄本〉。(出版社公式WEBサイトより抜粋)

これ1冊でもいいし、高橋哲哉『沖縄について私たちが知っておきたいこと』から続けて読んでもいいかもしれない。本土の人間が沖縄について考えるとはどういうことか。をこの本に考えさせられた。岸政彦先生の文章が美しく、たまらなく好きになってしまった。

【小説】真藤順丈『宝島』

米軍基地を襲撃した夜、故郷(シマ)いちばんの英雄が消えた。英雄の帰還を待ち望みながら沖縄(ふるさと)を取り戻すため立ち上がる、グスク、ヤマコ、レイ。長じて警官となり、教師となり、テロリストとなった幼馴染たちは、米軍統治下の時代のうねりに抗い、したたかに生き抜こうとする。(出版社公式WEBサイトより抜粋)

昨年映画化した原作小説。アメリカ統治下時代の沖縄を舞台にした20年の歳月を辿る大河ドラマ。めちゃ面白い。自分はオーディブルで聴いた。

【小説】坂上泉『渚の螢火』

1972年春。本土復帰を控えた沖縄では、それまで使用されていたドル札を円に交換する必要があるため、島中の現金を回収していた。そんな最中、現金輸送車が襲われ100万ドル(当時のレートで3億円以上)が奪われてしまう。本土復帰の直前であり、高度な外交問題に発展する恐れがあるため、琉球政府および琉球警察上層部は日米両政府に秘匿したまま、極秘裏に事件を解決するよう指示をする。任務をうけた真栄田太一警部補は、様々な葛藤を抱えながら事件解決に挑むが……昭和史ミステリーの新鋭が描くノンストップサスペンス。(出版社公式WEBサイトより抜粋)

昨年ドラマ化した原作小説。本土復帰直前の沖縄を舞台に起こる事件に本土帰りの刑事が挑む。めちゃ面白い。自分はオーディブルで聴いた。

【ドラマ】『フェンス』

野木亜紀子待望の新作オリジナル脚本。復帰50年を迎えた沖縄を舞台に連続性的暴行事件の真相解明に二人の女性が立ち向かう、エンターテインメント・クライムサスペンス!(公式WEBサイトより抜粋)

一時期は見づらかったものの、いまはアマプラNetflixでも配信されているのでだいぶ見やすくなった。全6話なので比較的見やすいし、言葉を選ばなければめちゃ面白い。沖縄が“抱えさせられている”問題をこれでもかと詰め込まれて野木亜紀子の意気込みも感じる。『アンナチュラル』や『MIU404』、『ラストマイル』あたりが好きなひとは楽しめるのではないかと思う。

【映画】『シン・ちむどんどん』

復帰50年の節目となった昨年9月の 沖縄県知事選から物語は始まる。当時放送中だった朝ドラ「ちむどんどん」を推す全候補者に、その答えから人間性がわかると質問攻めするプチ鹿島。SNS 上に溢れる「沖縄と選挙」を取り巻く膨大なデマを問題視し、候補者に直撃するダースレイダー。そして二人は、選挙戦の争点となった「基地問題」について、現地の人に話を聞こう と、座り込み抗議がおよそ3000日続く辺野古の現場を訪れる。ダースレイダーはそこで即興のラップを披露。音楽と共に闘う沖縄の人々とのコラボが実現した。(公式WEBサイトより抜粋)

プチ鹿島・ダースレイダーが見る沖縄選挙戦。現在無料公開中。今年は沖縄県知事選もあるのでぜひ見てほしい。なんせ無料で見られる。

さいごに

思いついた順に10個挙げてみたが、どうなんだろう。どれか一つ最初に触れてほしいものを選ぶとしたら『沖縄について私たちが知っておきたいこと』『はじめての沖縄』『フェンス』あたりのどれかだろうか。

マンガなら高妍『隙間』や新里堅進『ソウル・サーチン』(買って少し読んで積んでる)なんかもいいかもしれないし、自分は最近ちくま文庫から出た比嘉慂『カジムヌガタイ』を買った。(読む。これは積まない)。

岩波ブックレットやジュニア新書、各出版社の新書や文庫にもきっと手に取りやすいものがあると思う。Amazonオーディブルにも先に挙げた『宝島』や『渚の螢火』もあるので無料期間に聴いて抜けるのも全然いいと思う。

そんな中、今日もちょっとした時間にインターネットを見ていた。「見たくないものは見なくていい」「知りたくないものは知らなくていい」「自分は沖縄にゆかりがないから」「旅行に行ってまで戦争の歴史になんて触れたくない」……といったものが目に入った。十数年前の自分も似たようなものだったので気持ちはわかる。でも、何かを知らないことが、誰かを踏んでしまっていることと同然のことだったとしたら。足を退けて言うのが「知らなかった」は、理由になるのだろうか。

自分だって無知な人間のひとりだ。日本が植民地支配していた国を全て答えろ。侵略した国を答えろ。と言われて全て言えない。日本に侵略されたことのある、自分が国の名前も言えないひとに「自分の国の歴史も知らないのか」と言われても返す言葉がない。

戦争加害だけではない。知らないことがたくさんある。無自覚に誰かを踏んでしまうことも今後も必ず、何度もあると思う。それでも誰かを踏んでしまったとき、踏んだ自覚を持ちたいし踏んだことと向き合いたい。

本土に生まれ育った自分が沖縄のことを“わかる”なんて日は来ないと思う。でも、その歴史の断片に触れ、触れた箇所を“知る”ことならできるのではないか。そんなことを、沖縄の外から、日本の内側から思う。

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